逃がす訳にはいかない。

僕らも彼女の後を追跡するのだけれど…。

「ハワード、悪いけど彼女を追ってくれないか?」

「構わないが…君は?」

問いかけるハワードに僕は背を向けた。

「大至急確認したい事があるんだ」

ハワードはシンディの追跡、僕は別行動。

二手に分かれる。

…僕が向かったのは独房だった。

シンディが勾留されている筈の場所。

もし僕の予想が正しければ…。

今いる場所から独房はそう遠くなかった。

鉄製のドアを三つ隔てた先。

警備担当の兵士に事情を説明してもらって中に入ると。

「…あれ、グレイ君…どうしたの?」

キョトンした瞳を向けられる。

独房の鉄格子の向こう。

何事もなかったように、シンディは独房の中にいた。