「お前、見た目以上に無いんだな。」


少し歩いた後、最初に口を開いたのは柏原だった。


「無い?何が?」


言葉の意図が分からずに、問いかける私。


「ぶっ・・・、すげえ貧乳。」


そう言った柏原の肩が、小刻みに震えている。


この男・・・、私が深刻な思いでいるのに、人の乳ネタで笑ってやがる。


パッコーン!と音が出るほどの勢いで、柏原の後頭部を殴った。


「ってーなー。本当の事だろ。」


柏原は大したダメージを受ける訳でもなく、変わらず私をおぶったまま、更に肩を震わせながら歩いた。


「ムカつくー!これからが成長期だもん。」


「はいはい。」


ムキになる私を、適当にあしらう柏原。


だけど、こんないつも通りのやり取りが、不思議と心を落ち着かせてくれた。


私の不安を取り除こうと、わざと楽しくしてくれてるの?


それにしたって、貧乳とは・・・。



「ほんと、ムカつく・・・。」


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