「どういう事だ!」
「申し訳ございません、お坊ちゃま!ただ今、ハイヤーがこちらに来ますので。」
「あんなショボイ車に乗れるか!」
ホテルのエントランスで、ボーイの男性を、ものすごい剣幕で怒鳴り散らす俺様柏原。
どうやら、清四郎と瞳ちゃんが、柏原の車で帰ってしまい、足がくなってしまったらしい。
自分の車で来たんじゃなかったのか!清四郎!?
「いいよ、私なら歩いて帰れるから。」
ボーイの男性が、あまりに気の毒過ぎて、私はそう言い残し、ホテルを後にした。
「お、おま、ちょちょ、待て!待ちやがれ!」
焦って、後を追ってくる柏原。
待ちやがれなんて、時代劇かよ!ってツッコミ入れたくなるワードだし。
「ついて来ないでよ。歩いても1時間あれば帰れるし。」
柏原を後ろに、足早に歩幅を縮める。
「お前、こんな時間に、女一人で歩いてたら、いくら超ドブスのお前でも、何かあったらどうするんだ。」
後ろから、カチンとくる言葉を織り交ぜつつ、柏原がそう続けた。
