「お前みたいな貧乏女には、聞きなれない言葉だろ。」


柏原は自慢げに口角を上げる。


私は返事を返すのも面倒で、思いっきりムカつく顔で、舌を出した。


「時計だよ、腕時計。お前が20年位バイトしないと買えないような、高級な時計だ。」


うっわー、全っ然、羨ましくないし!


「なんで20年もあんたの下で働かなきゃいけないのよ。大学卒業したら、辞めてやるわよ!」


なんてムカつく男なの?


でも悲しいかな、大学卒業するまでは、あのバイト辞めるわけにはいかないんだな。



トホホと、心の中で涙を流して、ホームルームが始まるまで、狸寝入りを決め込んだ。