「だッ誰!?」

驚いて振り返るとそこには大爆笑し続けている雄三がいた。

「雄三さん今までどこに行ってたの?」

不思議そうに聞くとあっさり

「ずっと部屋にいて隠れてたんだ。」

と言って。

「何で隠れてたの?」

「それは私が説明します。」

と言ったのは包丁を盗んだ?女だった。

「実は雄三さんに隠れて欲しいと頼んだのは私なんです。」

「えっ!?じゃあ、貴方も幽霊なの?」

「はい。紹介が遅れてすみません。私の名前は溝口奈那子。享年31歳です。」

「31歳!?失礼ですが何でですか?」

「・・・実は私、子供ができにくい体だったのです。半ば諦め掛けていた頃、やっと子供ができたのですが出産の直前になって私の命を取るか、子供の命を取るかと言うっ危機的な状況に陥ったのです。主人は私の命を優先したいと言いましたが、私はやっと授かった子なのでその子の命を優先したいといいました。始め反対していた主人も私があまりにも譲らないので結局子供を優先させる事に賛成しました。それで、私は死んだと言うことです。」

「なッなんか、ヒクッ、どこかの酔いどれジジイと違って貴方は本当に立派な亡くなり方をし、ヒクッたんですね。」

「梨花の言うとおりだヒクッ。俺は自分が恥ずかしいぜ!!ヒクッヒクッ。」

2人は奈那子さんの話があまりにも感動的なので涙なしではいられなかった。

「これぞ涙なしでは聞けないですね。」

「馬鹿野郎!涙なしで語れないだろう!!使い方を間違えるな!!」

と2人は泣きながら突っ込みあっていた。

そんな中、奈那子さんは呑気に肉じゃがを作っていた。

奈那子は、鼻歌を歌いながら肉じゃがの中にタバスコを入れていた。

数十分後、梨花と雄三の悲鳴が響き渡る。

ちなみに包丁を持って登場したのは印象に残る思い出が欲しかったからだからだそうだ。