モノクロ

「……ッ」
リーダーっぽい人は涙目になっている。よっぽど怖かったんだろう。




「じゃあ…最後に一つだけ…」
「……」
一ノ瀬夾、アンタはあんときより冷たい人になっていたんだ。





「夾くんはアタシの名前わかる?」
声は震えていて、なんかかわいそうに思えてきた。







そりゃ~……大事なファンだもん。覚えてるよね…名前位………。









「誰?」
一ノ瀬はこんなことをいった。
何かの聞き間違いだろう、そう信じていた。


「え…?」
リーダーっぽい人は呆然と立ち尽くしている。
あまりにも無残だ。







「だから…誰って……」
「……………ッ。」
リーダーっぽい人は泣いている。
下を向いていて、表情までわからないけど…




多分、いや絶対に泣いている。









「ちょっとい…「そっ……か…」
アタシが反抗しようと思ったら、リーダーっぽい人に見事に遮られた。







すっごく悲しそうに切なそうに笑っていた。







「よく…笑えるね。」
いつのまにか、勝手に口が動いていた。







「今まで好きだった人に、存在すら覚えてもらってなかてんだよ?なのに、よく笑えるよね…」
「…………」





「…んたには、関係ないでしょ?黙って!!」
「イヤ!黙んない!!」





それでもアタシは言い続ける。









「さっきから思ってたんだけど…アンタ何様?態度はでかいは、口は悪いは…いったいどんな教育受けてきたんだよ…」
ハァーと深いため息を漏らす。









「ちょっと…止めてよ…」「だからイヤっつってんでしょ?」