六畳一間の魔法使い

と。

部屋のドアがノックされた。

「ほらぁ」

私は彼を睨む。

「大声出すから苦情言いに来たんだよ?」

「何なぁ、俺のせいか?」

急に縮こまる彼。

まるで叱られたシベリアンハスキーみたいな表情だ。

私は私で、『待て!』みたいな視線で彼をたしなめつつ、玄関に向かう。

ドアを開けると。

「すみませーん、ハンコお願いしまーす」

郵便屋さんだった。