梓はあたしに何か隠している。





“何か”―…。


それは1年前のあの日からあったのか?


ずっとあたしと出会う前からあったのか?


分からない。


なんだか梓を疑う自分が嫌。


信じなきゃいけない。


なのに…


今、あたしは疑っている。



「有香…」


黙っていた梓が小さく口をあけた。


あたしを呼ぶ、甘い声。

「あの時はごめん。仕方がなかった―…」


仕方がなかった?


『どういう事?』


あたしの問い掛けに彼は弱々しく笑った。