先を歩く野村くんと凛に気付かれないようにあたしはそっと梓と手を繋いだ。


暖かい大きい手。


女のあたしでさえ負けるくらい整った顔立ちだけど


やっぱり男の子なんだ。


『えへへなんか照れるね』


「え?」


『だって前は恥ずかしくて手繋がなかったじゃん』


「あー…うん」


なんだか面倒臭そうに答える梓。


『梓…?』


「なんにもねえよ」


冷たく言った後。

あたしは少し悲しかったけど。

すぐにまたいつもみたいに笑ってくれたから。


安心できた。