やさしく、一瞬のキス。



1年ぶりのキス。


本当に一瞬だった。


優しくて、どこか懐かしいキス。


『梓・・なんだよね?』


あたしの声に彼は一瞬戸惑っていた。


でも、すぐにあたしを見つめて静かにうなずいた。


そして、あたしはまた梓に抱きついた。


『会いたかったんだよ!梓!!』


その日は何度梓の名前を呼んだだろうか・・・。


きっとあたしと梓が出会って今までの間でこんなに梓の名前を呼んだ日はなかった。


「有香・・・」


今度は彼があたしの名前を呼んだ。


もうその声のどこにも冷たさなんてなかった。