落ち着いて、涙も乾いてきた頃。


さっきまで涙で見えなかったあたしの視界がはっきりと映るようになった。


蛍光灯の下であたしを抱きしめてくれている人は灰色のパーカーを羽織っていて顔はフードが被さっていた。


ドキドキ

あたしはそのフードをゆっくりとめくってみる。

ゆっくり、ゆっくり。


フードの中から見えたその顔は・・・



あたしの愛しいあなたの顔。


ずっと、ずっと会いたくてたまらなかった。


『梓・・・』


彼のパーカーの袖をつかむあたしの指の力が強くなる。


彼の顔がどんどん近づいてきた。

あたしはゆっくり目を閉じる。