あたしがいるだけで陸が傷つく。


あたしが陸を想う事で梓が傷つく。


あたしは、大切な2人を苦しめさせてまでこのまま陸を好きでいていいの?



心をなにかにわし掴みされたような嫌な気分。


下駄箱に行って靴を履き替え、外に出た。

ただでさえ寒い冬の日なのに、冷たい風が意地悪そうにヒュッと笑いあたしの体の隙からすり抜けていく。


あたしはマフラーに赤くなった鼻を入れて手を制服のポケットに入れる。


そのままとぼとぼと、梓の病院までの道のりを歩いていった。


途中、角のコンビニであたしの大好きなフルーツオレと梓へのカフェラテを買った。


コンビニの袋をぶら下げてまた寒い冬の風の中を歩いていく。


病院に入ると、ふわっと温かい空気に包まれて自然と凍えがちだった体のすべてが温められていく気がした。


『ふう・・・』


自然とため息も出た。


梓の病室の前まで歩いていく。

病室の近くに来て声がしないか、確認。



陸がいないか、確認したんだ。
もし今陸と会ってしまったら気まずすぎる。


病室が静かな事に胸をなでおろし、そっと病室のドアの取っ手に手をかけた。
取っ手がひんやりと冷たくて油断していた手がちょっと驚く。


『梓~』


ちょっと小さめに梓を呼んだけど返事がしなかったのでもう一度大きな声で呼ぼうとしたが。

病室のベッドの上で静かに寝ている梓を見て開いていた口を閉じた。