***


梓の強い視線に陸も視線をぶつけた


「片山さん!ここは病院ですよ!?早く病室に戻ってください」


騒ぎで駆け付けた看護婦さんの声と足音がした


その声で張り詰めていた空気が少し和らぎ陸も梓も目を逸らした。


現場に着いた看護婦さんにあたしは謝って、梓を病室へ連れて行った。


陸の様子を見ると、陸は壁に寄り掛かったまま何か一点を見つめているようだった。


あたしはまた前を向き直し梓の背中を優しく押した。


その時。


「!…っ」


『梓!?』


梓が苦しそうにその場に膝をつけた