俺に抱きつく有香がとても小さく感じて。


小刻みに震える肩や時々漏れる泣き声を落ち着かせようと優しく、その小さな背中を擦った。


俺や梓はこんなに小さくて、弱そうで、泣き虫なコイツを1人にしていたんだ。


あの日、俺は確かにコイツの真直ぐとした目に惚れたけど。


やっぱりコイツにだって怖いものはある。
怯えるような心も持ってるんだ。


不安だっただろうな、この1年間。


急にいなくなった梓をずっと待ってたんだ。


不安と恐怖に何度も襲われて。


なあ、有香―・・・


お前は何度梓を想ってこんな風に弱々しく1人で泣いていたんだ?


梓への想いが俺に向く事はないのか?