彼の精神世界には、いつの間にか魔物や鬼が棲み、裸の女を追いかけ、鋭いツメで裂き肉を喰らっている。

和夫の心は荒廃して、世紀末状態だ。

自分が人間として破壊されていくのを、恐怖を感じながら見ていた。

地獄のような心にすんでいて、おだやかな世の中が、全てウソと作り事に見える。

和夫はもう、生きる事に疲れきっていた。