「ちょっといい?」
休み時間麻妃に呼び出された。


緊張しながら麻妃の顔を見た。


「もう大丈夫なの?」
おもいもしなかった言葉。


「ありがと、うん大丈夫。」


「家族がいなくなるって
すごく悲しいものだよね。
私も最近やっとだよ。
うちはおねえちゃんのせいで
しばらくぐちゃぐちゃだったよ。」



「有名な人だったからね。」



「おねえちゃんはいいよ。
逃げたんだもん。
家族に悲しみと混乱だけおいて。」



「辛くても命は無駄にしては
だめだよね。」


「私にとっては
きれいで頭がよくて天使のように
優しい人だったけど
理輝のことを奪っていったのは
もう切羽つまってたのかな。」


麻妃は春妃によく似た
美しい顔でそう言った。



「昨日ね、理輝が初めて
うちに来て
やっとわだかまりが消えて
春妃を理解できたんだ。
麻妃も巻き込んで悪かったな。
って言ってくれた。」



「理輝も春妃さんに向き合ったからね。」



麻妃は静かに笑った。