席に戻ろうとしたら
理輝が近づいてきた。


「理輝・・・・」
また涙があふれる。


「とうさんと来てるんだ。」


後ろを振り返ると宏が深く頭を
下げた。


「わざわざ・・・ありがとうどざいます。」



周りは芸能人の登場に
静かにざわついていた。


「これ・・・・」


理輝がタオル地のハンカチを
私の手に握らせた。



「え?」



「今は何もしてあげられないけど
俺がおまえの涙をふいてやるから…
これ、俺だと思って使え。」


そう言った・・・・。



「理輝・・・・」
ポロポロ涙がこぼれた。



「今抱きしめたいけど・・・
こういう場だから・・・・
でも俺は、おまえと一緒にいるからな。」


そう言って私の背を優しく押した。


おとうさん……
私の大事な人だよ……

見てる?


私の好きな人だよ・・・・・・


大声で叫びたかった。