理輝の父親の深いため息が響いた。


「あの時、俺は気がつき始めてた。」


理輝が静かに口開いた。



「春妃が俺を誰かの代わりにしてる
俺を見ながら他の誰かを
想像してるって・・・・・。
それが誰なのかわかりかけてきた頃だった。
とうさんがなぜか
気になった。
自分ととうさんをいつも比べてた。
勝てるとこなんて一つもない……って…」


私にとっては理輝が
春妃さんを深く愛していた話は
正直胸が痛かった。


ただ、理輝がここを越えなければ
先に進めない
真実を私も受け止めなければ
理輝を自分のものにするのは
不可能だと思った。


理輝がここに私を必要としているなら


私は真実を理輝と受け止めよう



「恨んでいるのかとずっと後味が悪かった。
もしかしたら春妃と
引き離されて憎まれてしまったのか
そう思うと、それは理輝のためだったのか
そんなこと考えてたら
おまえの目がまっすぐ見られなくなった。
俺も自信がなかったんだ。」



理輝の父親はソファーから立って
大きな窓の外を見つめた。