理輝とは少し距離が出てしまっていた。


前は帰ってくると
いろいろ話をしたが、最近は
部屋から出てくることもない。


「思春期ですから・・・」
佐々木さんが気の毒そうに言う。


「あれから春妃は・・・・・?」



「いえ・・・
ただおぼっちゃまの外出があるくらいで
今は春妃さまの影はここでは
わかりませんが……
旦那さまも大変ですね……
お辛いでしょう。
あんなに愛されてたのに…
今は親離れの時期なのかもしれませんね。」


コーヒーが心にしみた。


「さびしいね~
奈々子がいたらっていつも思うよ。」



俺もすっかりおじさんになっていた。
奈々子を失ってから
いろんなことはそれなりにあったけど
本気にはなれない・・・


奈々子をひきずっているのか・・・


人を愛することが面倒になった。