「俺、かあちゃんに頼んでみる。
林檎を戻してくれって。」


徹が泣きそうな顔になった。


「あんがと。
でも・・・・ここにいたいの。
ここにいる意味を見つけたの。」



「いる意味?」



「うち・・・・
今、恋してんだよ・・・・・。
切ないけど・・・・
でも初めてなんだ、全部が・・・・・。
だから、徹の気持ちには
答えられないんだ。」


徹は黙って私を見た。



「その人のことうちが抱きしめたいの。
今、立ち直ろうとしてるから・・・」



「林檎がか?」


「そう・・・・
うちね…今その人と距離を置いてんだ。
色々あった人でね・・・・。」


「おまえ、どんな奴好きになった?
そんな問題のありそうな男
幸せになんかなれないだろ?」



「わかんないけど・・・
わかんないけど・・・
でもね、ここに来て辛かった時
その人と一緒にいて幸せだったんだ。
その人と二人でいれることが
うち嬉しかった・・・・。
その人の胸の中がうちの居場所だって
だから・・・
あきらめたくないんだ。」