生まれた家は物置になっていた。


大家さんの畑のスコップや
いろんなものが
無造作に突っ込まれていて

ショックだった。


「家がなくなちゃった」


幸せだったあの頃

貧しくてギリギリの生活にも
この古くて
ちっこい家は幸せだった。


母の元気な笑い声が聞こえた気がして
周りを見渡した。


「おかあさん・・・・・
おかあさん!!」




ここで幸せだったあの頃に
いつまでも縛られていては
いけないんだ


母の一瞬聞こえた
笑い声がそう教えてくれたような
気がする。



自分の居場所に戻ろう


家を後にした。