「春妃のこと・・・ほんとなのか?」


「今ここで話すには時間がない。
そのうちちゃんと話しようと
思っていた。」



「ほんとなのか、噂なのか
どっちか一つだろう?」 


「そんな簡単な話でも
下世話な話でもないから
それは時間のある時にゆっくり・・・」


「時間って春妃が死んでから
何カ月たったんだ?
あんた、春妃に会ってもやってない。
もしあの自殺が
あんたのせいなら俺はあんたを
ぶっ殺す!!
俺は、春妃を愛してた。
息子がずっと好きだった女は
実は父親のものだった……
そんなことがわかったら
今よりもっと週刊誌に汚く書かれるだろうな。
歌姫 HARUHIは完全に破滅
イケメン俳優 三田 宏は消滅!!
どーなんだ!?」


機関銃のように理輝は
怒鳴りまくった。


携帯電話の音が鳴る。



「理輝、今度話そう。
時間がないんだ、出かけるよ。」


私は慌てて声の聞こえない場所に
移動した。


理輝の部屋から出てきた宏が
私に会釈をして


「よろしくたのみます。」
そう言って通り過ぎた。


居間から慌てて出てきた
佐々木さんが宏の大きなスーツケースを
引っ張って玄関で見送った。