バイクは理輝の家に停まった。


「いいの?」


「どうせ、誰もいないからさ・・・」



理輝は私の手をひいて
大きな玄関のドアを開けた。



佐々木さんが

「ぼっちゃま、どうしたのですか?」


「今日は午前授業だよ。
林檎つれてきたから。」


「ぼっちゃま……」
佐々木さんが耳元で何か言った。


理輝は一瞬動きがとまったけど


「わかった。」小さく言って



「林檎入れ。」と言った。


「突然すみません。
おじゃまします。」
挨拶して、離れの廊下を険しい顔をした
理輝の後をついて
歩いた。