「ちょっと、おじさん!!
あの女って、うちのおかあさんのこと?
うちのおかあさんは
みちるって言うの。
働き者で明るくて、大好きなおかあさん。
こんな情けないおとうさんのこと
大好きで、思いあえるだけで
幸せなのなんて、
バカがつくくらい情けないおとうさんが
大好きだったの!!
何も知らないでやめて!!」


私は立ち上がって
大声を張り上げた。


「おかあさんを侮辱しないで!!」



「林檎・・・」


父が言った。


「俺とみちるはどんなの時も
心は一つだった。
愛してるって毎日言いあってた。
恨んでいた・・・
後悔させていたのかも
知れないけど・・・・
俺にとってはみちるは
最高の女性だった・・・・
人生にみちるのない時間は
あり得なかった。
すべて俺のせい・・・・・。
病気と闘えない俺の情けなさが・・・」


そう言って父は
母が死んでから
初めて泣きだした。