どさくさにまぎれて
私は、理輝の手を握り締めた自分を
褒めていた。


よくやった・・・
なんだか少し距離が縮まったようだった。



体育が終わってみんなが教室に
戻ってきた時
女子の意地悪な視線に気がついた。


しょぼくれていたら負けよ
負けるもんか・・・


「リンゴちゃん、ジャージあったか?」
つよピーが戻ってきた。


「ない。きっと神隠しだよ。
だって持ってきたのに
ないなんて、隠されたとしか思えない。」


「神なのか?」


「哀れだから神にして
おいてやる。」


「ふとっぱら~」
ま~くんが笑った。


「誰か、リンゴちゃんの
ジャージー見つけたら
俺らに教えてね。」
つよピーの言葉に女子は大きくうなづいた。


この中にいるのは確実だった。


私は席に着いた。



「やせ我慢して・・・・」
理輝がつぶやいた。


「悔しいから我慢するよ。」

前を見るしかないもん。