コンビニ

木曜日を待ちきれない俺は、今日もコンビニへ行った。驚いたことに、今日も彼女がいた!

「ひょっとしたら、彼女はバイトじゃなくて正社員?」
こんなに何日もバイトしてるのはちょっと不自然な気がした。しかし、そんな事よりも俺は彼女に今日も会えた事が嬉しく、大して気にならなかった。

何度会っても、彼女と会う度俺は緊張した。最近飲みに行く事が多かったせいか、財布の中身は散々たるものだった。

「タバコ下さい」
また吸いもしないタバコを頼んだ。彼女は覚えたのだろうか、銘柄を言わずとも俺がいつも頼んでいたタバコを手に取った。

「こちらでよろしいですね?」
「…あっ、はい」
弱々しい声で返事するのが精一杯だった。俺は彼女の目を直視出来なかった。

「タバコ、よく吸うんですか?」
突然、彼女がレジを打ちながら言った。俺は戸惑った。
「いや、親のタバコなんで…」
とっさに嘘が出た。親も俺と同じで酒は飲むが、タバコは吸わない。ただ、何故か彼女に自分がタバコを吸うと言うことを言うのが嫌だった。

店を出た俺は買ったタバコをポケットに閉まった。空は満月。曇などなかった。

満月の夜の帰り道、俺はほんの小さな喜びを、大きく噛みしめた。