君から目が離せない

君に釘付け


まるで歌の歌詞のようなできごとが、



翔にとっては初めての経験だ。




まだ、人がまばらな電車の中
その人は戸に寄りかかって外を見ていた。

その横顔は美しいというより、愛らしい

翔は、大切なものを見つけた気分になり
なぜだか嬉しくなっていた。




翔はこの日、春から通う服飾専門学校の通学路の下見を兼ねて渋谷に来ていた。
その帰りの電車で翔はその人を見つけた。

見つけただけ、まだ出会っていない


高校時代の翔は彼女がいなかったときはない
背も高く見た目もいい翔に女の子たちは夢中になっていた。

「一目ぼれ」されることが多かった翔
「はじめてみたときから好きです」そんな言葉は聞き慣れていた翔

そんな翔だから、一目で好きになる?
そんなことって本当かよ!とどこかさめていた。



「これが一目ぼれっていうことか?」



そんな、初めての幸せな時間は25分で終わった。



「隣の駅かあーまた会えるかなあ?」翔は思った。

「もう一度、会いたい」翔は強く願った。


「そういえば渋谷から一緒だったな、」



学校に行くのが楽しみになったぞ!!!

俺って、こんな純だったのか~(笑)」

翔はこんな気持ちになった自分がおかしかった。