「なあ、雄哉。ちょっと聞いてくれないか。」

「どうした翔?恋話か?」

「そんなんじゃないよ」


翔は雄哉に昨日の手紙を見せた。手紙を見た雄哉は驚いた顔をして翔をみた。翔はこの手紙が入ったいきさつを雄哉に話した。もちろん美月のことは伏せて、一緒に電車に乗っていたのは高校の先輩ということにしてだ。


「これって、その先輩に関係あるんじゃないか。」

「だよな。」

「片思い中で、遠くから見ているって感じじゃないか。ひょっとして、ストーカーってやつか?」

「やっぱりそう思うか?」

「ああ」

「どうしたらいいと思う?本人に伝えたほうがいいか?」

「やめとけって、かえって怖がらせるだけだよ。」

「じゃあ、その先輩の一番近くにいる誰か、親とか彼氏にそれとなく伝えたほうがいいのかな。」

「そうだな。変に騒がないほうがいい。ただ憧れで見ているだけのやつかもしれない。開き直ったら逆に何するかわからないぞ!」





「何?深刻な話しをしているの?」

翔のクラスの女の子達が話しかけてきた。

「いや、こんな手紙貰ったからどうしたらいいか相談していたところなんだ」

翔はその手紙を皆に見せた。

「キャー何これ!」「こわい」「危険だよ!」みな口々にそう叫んだ。


一通り騒いだあと、一人の子が真面目な顔をして
「ストーカーって気の毒だよね。」と言い出した。

「なんで~?」

「だってさあ、つきまといとか後つけられたりとかさー、ちょーかっこいい人にされたら嬉しくない?恋愛対象に見えるか見えないかで、扱いが犯罪者だよ」

「あっ!確かに言えるわ。ストーカーがちょっといいなあって思っている男だったら、気分は天国だよね」

「わかる!わかる!キモイやつだったら勘弁だけど、好みの男だったら逆に運命感じちゃうかもね。」


翔はその言葉にドキッとした。