「おい・・・嘘だろう・・」

翔は自分の目を疑った。あんなに探していたのに、こうも簡単に見つかるなんて。朝の講堂。学校のホールであの人はこれから始まるオリエンテーションの準備を同僚としていた。

(あんなに探し歩いていたのに・・・まるで青い鳥みたいだな。)

翔は今朝も早くから渋谷の改札口であの人を探していたのだ。初めて見つけたあの日から、毎朝渋谷に行っていた。

(何組だ?そういえば、愛莉のクラスの先生が可愛いって言っていたな、愛莉のクラスか?)

「よお!翔早いじゃん!」
「おはよう翔♪」愛莉と雄哉だ。

「なんだ?一緒に来たのか?」

「信号待ちで偶然会ったんだ。翔に置いてきぼりされたってちょっと涙目だったぞ!」

「やだぁ~そんなこと言わないでよ!相川くん」

愛莉はちょっと赤くなった眼をかくして、雄哉の腰を軽くたたいた。

「約束していたっけ?・・・それより愛莉の先生ってあの人?」

「そうだよ。あっ!先生、おはよ~!」


その人は愛莉の方を見てニコッと笑って手を小さく振った。翔にはその仕草がとても美しく愛らしく感じた。

(愛莉の先生なら、会うチャンスいっぱいあるじゃないか)

翔は愛莉の方へ視線を向けた。何も知らない愛莉は、ただ嬉しそうに微笑んでいた。