「杉浦さん、ごめん変な話聞かせて」

「あっ別に気にしないで。大変だね。その子も毅くんに助けてほしくてそんなことするんじゃないの?」

「いや、違うんだ、あいつは前の彼氏が忘れられないだけなんだ。でも、いろいろあって、俺と付き合っていて、もう彼氏のもとには戻れないから、よけい苦しんでいるっていうか・・・」

「それでも、その子を受け入れているの?」

「うん、まあ。いろいろとね。」

「好きなんだね。その子にも気持ち通じているよ、きっと・・・」

「だといいけどな・・・」


重い空気が愛莉と毅を包む。(何か言ってあげなくちゃ)思えば思うほど、愛莉には言葉が見つからない。愛莉にとって翔が戻ってくるほんの数分が何時間にも感じた。


「・・・で、毅、おまえその子どうするんだ?ていうかこれからどうしたいんだ?」


翔が座りながら話しかけてきた。


「杉浦さんの前じゃあ、言えないな。」

「そっか」

「それより翔!最近の誘いないからさびしかったぜ~。そしたら杉浦さんだもんな。お前って本当にうらやましいぜ」

「なにいってんだ!お前の方が忙しくしているくせに。また連絡するよ」



そういうと翔は伝票を持ってレジに向かった。