「……家には誰もいません」

「!?」


夏目はドアノブから手を離した。



「父は何年か前に蒸発して……母はたまに仕事の資料を取りに戻るだけで家にいないんです……」




ハルが1人っていうのはこういう意味か…


夏目はハルに近づいていき、ベッドに腰かけた。





「………だから…」


夏目は小春の目を手で覆い、


「分かったから……今はゆっくり休め………な?」


小春は鼻をグスッとして頷いた。それから何分もたたないうちに小春は眠った。

小春のスースーという寝息とカチカチという時計の音が部屋に響いている。





あんな広い家に1人でいるってやっぱ寂しいよな……
今までずっと…

ハルは強いな……





でも、逆に心配になる。
弱い自分を見せないハルがいつか崩れていくのではないか…。

人前では絶対泣かない…いや、人前じゃなくても泣かないかもしれない…

そういえば、ハルの笑った顔見たことないな……











笑った顔が見たい……







素直にそう思った。
ハルの楽しそうな顔が見たい…ハルの嬉しそうな顔が見たい…


俺が……ハルのそばにいよう!
絶対、楽しいと言わせる!!







俺が……ハルを












――――守る

――――――