しばらくしてその子は俺の存在に気付き、俺に近づいて来た。
やべッ!!見すぎた!
俺は、不審者の如くフェンスにしがみついて見ていたことに今気づいた。
すぐさま立ち去ろうとフェンスから手を離したとき、その子から細くて、でもしっかりとした口調で優しい声がした。
「すみません…気づかなくて…すぐ退きますね」
「あ…ああ~」
俺は曖昧な返事をしてしまった。
俺はコートの中に入った。
今日はやる予定じゃなかったから制服のままボールをついた。
もうちょっと見たかった。
あの子がバスケをしているところを…。
だから俺は話しかけてみることにした。
