Ground...02


※Breath...10あたり


「え! 誕生日?」


ラビ先輩から聞かされた言葉に、俺は思わず大声を上げる。

それにうるさいな、と悪態をつきながらもラビ先輩が頷いた。

そりゃ、大声だってあげたくなる。



「蒼乃の誕生日、確か8月29日だったと思う」

「な、なんで今思い出すんですか! もう学校も始まってるし、今日9月25日なんですけど!」



俺はパニックのあまり、ラビ先輩の胸倉を掴みそうな勢いで叫ぶ。

だって、だって!

好きな子の誕生日に何もしないなんて、そんなの、そんなの(パニック中)!

プレゼントとかそんな事よりも、おめでとう、すら言って上げられなかったなんて。

そう考え出したら止まらず、俺は少し気を静めるとベンチに座った。



――――そう、蒼乃の誕生日。


部活が終わり、寮や自宅に帰るまでのこの時間、俺とラビ先輩、蒼乃、そして梅でよくこ
うして近間の公園で集まって他愛のない事を話すのが日課になっていた。

今日は梅は先に帰ってしまったが、俺とラビ先輩は蒼乃を待っていたのだ。

そんな中で、突然に発せられた衝撃の言葉。

驚くを通り越してショックが大きい。

事の発信源は驚くこともせず、ワイシャツを掴み、あちー、と仰いでいる。

そして落ち込んでいる俺を見て、苦笑いをするとポンポンと頭を叩いた。



「まあ、誕生日当日になんかしてやるのも大事だと思うけどさ、要は気持ちだろ? 今から祝ったって何も遅くないと思うけど」



まあ、分かってる。

今から祝ってもきっと蒼乃は喜んでくれるだろうし、というか自分の誕生日のこと忘れてたりしそうだし。

喜ぶより、驚くかも(そう思ったら面白い)。

俺はそんな蒼乃を想像して笑みを零す。