犬吠峠

仲間達と笑ったさ。

だって『日本国憲法』の文字すら漢字で書かれてないんだもの。

子供の悪戯だと思ったよ。

この先に秘密基地でも作ってんじゃないかってね。

…それにしたって急な登り坂だ。

行けども行けども何もない。

途中で嫌になってきてね。

仲間の一人が引き返そうって言ったんだ。

薄気味悪くなってきたのかもしれないな。

他の連中も頷く。

結局俺達が知らないうちに警察が来て、遺体は回収したんだろう。

そんな風に勝手に解釈して、俺達は坂を下り始めたんだ。