「ところで、賊ってどんなのを見たの?」


遠山先生の直球にオレ、飲んでいた水噴き出しそうになった。


『悪魔です』


って言いたい。
言えれば楽。

でもなー、絶対に『ふざけるな』とか言って鉄拳だよなー。



「後姿しか。硫酸をブチまけられたので、逃げるほうで手いっぱいで見ていません」

「盗まれたものは?」

「特にないです。盗まれるような貴重品も持ってきていませんし」

「なんでテンシンの部屋かなぁ? 恨まれる原因、思い当たる?」


遠山先生はオレをじっとり見つめる。



恨まれる原因。
普通の人にならないと言えるけどねー。
相手、悪魔だし。

オレ、普通じゃないし。
いや、認めんな、オレ!!

自分で自分が普通じゃないとか言ったら、まぢ戻れない!!


「ほんとはテンシンじゃなくってミシェル狙いだったのかもな」


あー。
結構なところ突いてくるっすね、先生。


それ、あながち間違いじゃぁないっすよ。