遠ざかるラッパの音を聞き洩らさないように、オレは走る。


朝晩の走り込みのおかげで、昔みたいに息が切れるってことはない。


こういう現実にブチ当たると、天使様には感謝もしたくなる。


ま、やり方がひどいけど。



玄関から外に出て、ラッパの音のするほうを見る。


黒い影が瘴気を流しながら走っていくのが見える。




「なんてことしてくれてんだよっ。たくっ!!」


瘴気ふりまきやがって!!

ただでさえ、オレ、この『瘴気』ってのが苦手なのに。