「ああ、初日から長い時間の拘束というのも可哀相ですね。今日の補習はここまでにしましょう」



遠山先生のお言葉に、天使様は『思った通り』だとでも言わんばかりに、小さく微笑んだだ。


そうですか、これ。
全部分かっていて言ってるんですねー。


怖っ。


「天林寺君、少しは言葉の読み解き方が分かりましたか?」



ぼんやりしていたら、そう遠山先生に睨まれて、オレは思わず背筋を伸ばしてしまった。
つーか、あんたも天使様並にオレには恐怖です。


「よろしい。残りは明日までにきちんと読みこんであればナシにいたしましょう。」



あの。
帰りたいからいいんですけど、明日までって。

やっぱ、あんた悪魔だよ。


「なんだか急かしてしまったようで申し訳ありません。」



しおらしく頭を下げるミカエル様。
ちらりとオレを見る瞳には『急げ』という文字が見える。


どうやら悪魔のことは分かっているらしい。



でも、一つ問題だ。



悪魔を追いかけるにしても、ここには関係のない人が2人いる。


もしも、玄関まで一緒に~なんてことになったら?



そんな悠長なこと、やってらんねーじゃん。