「花火、綺麗だねえ」



「そうですねえ」



夏の花火大会に上がるのとは違って。
もっと小さくて迫力には欠けるけど。


それでもそれは今までみたどんな花火よりもキレイで。



「忘れられないだろうな」



とオレにしか聞こえない小さな声で天使様が呟くもんだから。

妙に切なく胸に響いて。



オレ、必死に花火を見上げて焼き付けた。



見上げながらゆっくりと天使様と一緒にオレは教室へと向かう。



ワコちゃんの傍には琴音さんと早田君。


3人並んで花火を見ている姿は、なんだかすごく羨ましく思えた。



そこにオレの居場所はなくて。



「切ないな」


って言うなよ、天使様。