そんなオレを通り過ぎ、ウリエル様とラファエル様がツカツカと歩み寄ったのは先生だった。


二人は先生の前に、まるで鎌倉の仁王像のように並び立った。
見つめる先生を見る二人の天使様の目はいつになく鋭くて、オレはゴクリと息を飲んだ。


空気がピンッと張り詰める。
そんな中、口を開いたのはラファエル様だった。



「遠山義範殿」


ラファエル様に名前を呼ばれ、ビクッとする先生。



「悪いが、それをこっちへ渡してもらおうか?」



ウリエル様はそう言って、先生の右手に握られているモノを指差した。



天使様以外のそこにいるすべての人が先生の右手に視線を集中させた。


先生が握っていたもの。


それは、バルバトスを貫いた銀色の聖なる槍だった。



先生の手の中で、もの凄くキラキラ輝く銀色の槍に何か秘密でもあるんすかね?