ほんとはもう全部投げ出して―!!
なーんて一瞬思っちまったんだけど。

それでも今まで頑張ってきたこととか。
みんなの笑顔とか汗とか苦労とか。
思い出しちゃったらさ。

やるしかないよね?

って思ってたらさ。


「おまえはバカだな」


って声がこもったトイレの扉の向こうから降ってきてさ。



「あんな舞台、アスタロスとの戦闘に比べたらなんでもないだろう」とか。
「演じて、踊って、拍手を浴びて死ぬやつはいない」とか。
「腰ぬけだからいつまでもレベルが低いまんま」とか。
「足引っ張りがこれ以上足引っ張ってどうする」とか。
「元々誰もおまえなんかを観に来ていない」とか。


そりゃ散々言われてさ。


気がついたらオレ、緊張よりもなんか闘志が勝ってて。


「んじゃ、見てろよ、コノヤロー!!」


とかトイレの扉壊す勢いで戻ったんだな。



終わってみて考えたら、あれ。



天使様の優しさだったのね。