「なぁ、テンシン」

ぼんやり仕切りまくりでビシビシ人に命令しているワコちゃんを見つめるオレに、西成君が話しかけてきた。



「これがアイツの底力。本気になったアイツはもっとすごいぜ」


そうなんだ。
本当はワコちゃんってこういう子なんだ。


奥さんになったら……頼りになるんだろうなぁ。

ってか。
これ本気じゃないの?

すごいぜって……みたいような、みたくないような。


「本気にさせるのにちょっと手こずるんだけどね。本番は安心してアイツの胸を借りていいと思うよ」

そう言って西成君はウィンクして見せた。



エンジン掛けるのに手間はとるけど。
すっげー早い車なんだぜ―!!


というのと同じかんじ?



とにもかくにも。


ワコちゃんのエンジンがかかったって言うんなら。

男として、オレも負けらんねー!!


天林寺真理矢!!


死ぬ気でやってやるぜ!!



って。
過労死しそうな勢いですけど……大丈夫だよな。



たぶん。