屋上に向かったワコちゃんは、一人花壇とにらめっこ。


相当悩んでる?


「ワコちゃん」


思わず声をかけちゃったよ、オレ。


「あら、テンシン君」


驚いたようにワコちゃんが振り返る。

こういうときってなんて切り出せばいいのか……なーんて悩んでいたら彼女に言われた。


「じゃなくってシンヤ君なんだよね?

ごめんね。みんなあなたのことをテンシン君ってからかって。

本当はいけないことなのにね。」


優しいね、ワコちゃん。
自分が悩んで辛い時にもそうやって人のことを思いやれるんだな。



「嬉しいなあ。そんなことを言ってくれるのってワコちゃんだけだよ」


うん。
これはほんと。
こんなふうに言ってくれる子はたぶん、ワコちゃんだけ?


「そお? あなたそこそこ人気があるよ?」



『そこそこ』人気ある?


いや、『そこそこ』ってのが気になるっすけど。


ま、『そこそこ』でも人気あるんならいいのか?


つーか、こだわり過ぎだ、オレ!!