悪魔がもう一度咆哮する。


ビリビリと部屋全体が震え、窓という窓にバリバリとヒビが入り、砕け散る。



「逃げる気だぞ!!」

「分かっている!!」


天使様二人が慌てだすが、それは一歩遅く。



悪魔は割れた窓から滑るように外へと飛び出し、馬を駆り去っていく。


外でラッパ隊と戦闘をしていたじーちゃんたちも追おうとしたが「追うな」のミカエル様の一言に従った。



秋風が一気に流れ込むその部屋のベッドの上では、若松先生がぐったりと意識を失って倒れていた。


あれで意識飛ばないほうがおかしいし。



ミカエル様はそんな先生にゆっくりと近づくと額に右手をかざした。

かざした右手がポワンと光り、しばらくするとそれは小さくなって消えていた。


「これでいいな」


とウリエル様に同意を求めるように見つめるミカエル様に、ウリエル様もこくりと頷いた。