最悪だ。
最悪すぎる。
がっくりとうなだれるオレに遠山先生がポンポンと肩を叩いた。
電話をし終わったらしい天使様はオレと遠山先生を見ると、「黒田さんを送ってあげてください」と遠山先生に言った。
「おまえらはどうする気?」
「先生の車を私たちのせいで汚すわけにはいきませんから。近くに住んでいる友人を呼びました。たぶん、すぐにここに来ます」
友人?
この辺りに『友人』なんていたか?
そもそも天使様に『友人』なんて。
あの方たち以外に誰がいるんだ?
「ほら、来たぞ。テンシン」
天使様の呼びかけにオレはご臨終された携帯を握りしめながら、その方向を見た。
あー。
ほんとだ。
明らかに外人さんと見える風貌の大柄な超絶美形が走ってくる。
バスタオルを持ったその方は、見覚えがものすごくありますよ。
灰色にも見える短い髪に、同色の瞳。
目立ちすぎるってくらいに目立っているその方は。
昼間は覆面を被ってオレんちの近所でたいやき屋を経営。
夜は覆面を取り、近所では百発百中で言い当てるイケメン占師。
して、その正体は。
大天使ウリエル様。
つーか、呼ぶな!!