やがて列車がホームを離れていくと、みんなはいつまでもいつまでも姿が見えなくなるまで手を振っていました。
私も裕次郎さんに抱かれて窓から顔を突き出し、泣きながらお別れしました。車両には私達の他にも数人乗っていましたが、裕次郎さんは気にする事無く遠くなっていく景色をながめながら、溢れる涙を手のひらで何回も何回も拭いていました。
私達は列車を何回か乗り継ぎして走りつづける列車の中で期待と不安を抱えたままで、一夜を過ごして、ようやく大都会に着きました。
今思うと旅立つ前から決めていたのでしょう。裕次郎さんは大都会で何とか悦子さんへの思いを少しでも断ち切れると考えて来たのだと思います。だから私も直ぐに帰れると思っていました。
大都会での話は余りにも切ないので少しだけ話しましょう。初めは、それなりの宿泊施設に寝泊りしていましたが、何時の間にか私を連れて放浪するようになりました。私はとても動揺して心の中で「裕次郎さん頑張って」といつも念じていました。
周りから見ると惨めに見えるかも知れませんが、私から見ると裕次郎さんはとても楽しんでいるようにも見えました。
お日様が出ている間は公園でまるで身をひそめるように眠りますが、夜になると私を相手に話をしたり、遊んでくれ、そして時々は必要な物を買いに繁華街へ連れだって通う毎日でした。
裕次郎さんは公園へ戻ると楽しそうに焼酎を飲み、何時しかタバコも覚え、日を追うごとに酒量が増えて行きました。見ていて私はとても心が痛み、時々ふるさとを恋しく思い、幾度となく涙した事を思い出します。
私も裕次郎さんに抱かれて窓から顔を突き出し、泣きながらお別れしました。車両には私達の他にも数人乗っていましたが、裕次郎さんは気にする事無く遠くなっていく景色をながめながら、溢れる涙を手のひらで何回も何回も拭いていました。
私達は列車を何回か乗り継ぎして走りつづける列車の中で期待と不安を抱えたままで、一夜を過ごして、ようやく大都会に着きました。
今思うと旅立つ前から決めていたのでしょう。裕次郎さんは大都会で何とか悦子さんへの思いを少しでも断ち切れると考えて来たのだと思います。だから私も直ぐに帰れると思っていました。
大都会での話は余りにも切ないので少しだけ話しましょう。初めは、それなりの宿泊施設に寝泊りしていましたが、何時の間にか私を連れて放浪するようになりました。私はとても動揺して心の中で「裕次郎さん頑張って」といつも念じていました。
周りから見ると惨めに見えるかも知れませんが、私から見ると裕次郎さんはとても楽しんでいるようにも見えました。
お日様が出ている間は公園でまるで身をひそめるように眠りますが、夜になると私を相手に話をしたり、遊んでくれ、そして時々は必要な物を買いに繁華街へ連れだって通う毎日でした。
裕次郎さんは公園へ戻ると楽しそうに焼酎を飲み、何時しかタバコも覚え、日を追うごとに酒量が増えて行きました。見ていて私はとても心が痛み、時々ふるさとを恋しく思い、幾度となく涙した事を思い出します。

