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次に目が覚めたのは
辺り一面、真っ白な世界だった。
…ってのは嘘で。
俺はいくつもの機械に囲まれ、病院らしきベッドに横たわっていた。
涙目で俺を見下ろす家族。
クラスの友達に、樹。
俺の体は包帯だらけ。
はーい。
ちなみに、これもウソ。
…さて、冗談はさておき。
「…何だこれ。」
気が付くと、何故か俺は教室に居た。
思わず慌てて自分の体を確認する。
確か、俺…
トラックに跳ねられたよな…?
けれど、体のどこにも痛みなどない。傷もケガも、もちろん傷痕すらない。
再度確認するように教室を見渡せば、それはいつもと何ら変わらない風景。
切り取られた絵画のごとく、全く同じ。
だけど、どことなく違和感を感じるような……。
そう考えていると
「颯!」と名前を呼ばれ俺の意識はそこで現実に戻された。
「つーか颯、寝すぎだろ。」
どんだけ寝れば気が済むんだ、と目の前で笑う樹。
俺は唖然としたまま、樹の顔を直視した。
あまりにも普通だ。
じゃあ、あれは夢なのか?
それにしてはリアルすぎる。

