trick Or trёat!



***



次に目が覚めたのは
辺り一面、真っ白な世界だった。

…ってのは嘘で。



俺はいくつもの機械に囲まれ、病院らしきベッドに横たわっていた。

涙目で俺を見下ろす家族。
クラスの友達に、樹。

俺の体は包帯だらけ。


はーい。
ちなみに、これもウソ。




…さて、冗談はさておき。




「…何だこれ。」

気が付くと、何故か俺は教室に居た。



思わず慌てて自分の体を確認する。

確か、俺…
トラックに跳ねられたよな…?


けれど、体のどこにも痛みなどない。傷もケガも、もちろん傷痕すらない。


再度確認するように教室を見渡せば、それはいつもと何ら変わらない風景。

切り取られた絵画のごとく、全く同じ。



だけど、どことなく違和感を感じるような……。

そう考えていると
「颯!」と名前を呼ばれ俺の意識はそこで現実に戻された。



「つーか颯、寝すぎだろ。」

どんだけ寝れば気が済むんだ、と目の前で笑う樹。


俺は唖然としたまま、樹の顔を直視した。



あまりにも普通だ。
じゃあ、あれは夢なのか?

それにしてはリアルすぎる。