――帰り道。
ふあぁあ、とデカイ欠伸をかまして街路樹を歩く俺に
樹は「さむっ、」と隣でおもむろに呟いた。
どこかで北風がひゅうっと鳴く。
二人分のローファーが擦れる音がリズムよく響く中、樹が肩をすくませて言った。
「さすがに10月にもなると寒いよな。」
「…おー。」
「何だよ、そのやる気のない返事は。」
だって眠ぃんだもん。
言いかけて、言葉に詰まる。
「…あ、」
と、先に声をあげたのは
信号待ちをしていた紅葉だった。
あ~、タイミング悪ぃ…。
明らさまに嫌そうな顔をした俺を見て、紅葉がムッとしながら口を尖らせた。
「言っておくけど。」
「あ?」
最初から喧嘩腰の俺たちの様子に、樹が「また始まった」と小さくぼやくのが聞こえる。
紅葉も聞こえたはずだが、一度始めたモノはもう止められない。
俺たちの場合は特に。
「颯は別に来なくていいから、ハロウィンパーティ!」
「けっ!はなっから行く気なんかねぇーし!」
「あら、意見が合うのなんて初めてだねー。」
「あぁ、どっかの誰かさんがいつもバカみたいに反抗して来てたからなぁー。」

