麗らかな秋の木漏れ日が、教室全体に降り注ぐ昼休み。
「痛ってぇっ!」
某マンガの最新刊を読んでいたら、突然頭を叩かれた。
…いや、どっちかっつーと
ぶん殴られた、って言った方が正しい。
犯人は明確。
「てんめぇ、何すんだよ!」
思わず涙目になった顔で、痛む後頭部を押さえ視線を上げる。
すると、手を挙げた張本人(女)は仁王立ちで俺を見下ろして言った。
「トリック オア トリート!」
「はぁ!?」
トリック オ…な、何だって?
眉間にシワを寄せたまま睨み返すと、相手は懲りる事なく同じ言葉を投げかけて来る。
「だぁーから!トリック オア トリートだってば!」
「それが何だよ!!」
ちょっと待て。
その頭に乗ってる三角のハットは一体何!?
…つーか頭、超痛ぇし!
痛みに顔を歪ませている俺に、ずいっと近付いて来た女…
もとい、由井 紅葉(ヨシイ クレハ)は心底驚いたように目を丸くした。
「本当に知らないの?」
「だから何が!」
「ハロウィンよ!」
ハ、ハロウィン?