三山龍子…容姿端麗…但し、肌を除けばの話し……。

両親は既に亡くしており、親代わりとして、龍子の面倒をみた優しい兄が一人いる。


上り龍の入れ墨を背中に持つ、ヤクザの父親と、そんな夫を健気に支える母親のもとに、この兄妹は生まれた。

龍子と言う名は、父親がつけた。

上り龍の子供として龍子…実に単純な……。

考える事も行動も全てが、大人になりきれなかった父親は、ヤクザの世界でも、いつまで経っても昇進出来ない、下っ端のチンピラヤクザだった。

母親は、無収入の夫の為、朝昼夜殆んど寝る暇もなく働いた。


家計を守り子供を守り…末期ガンまで進行してることに気付く事もなく、ガンと告知を受けてから約2ヶ月で他界した。

龍子12歳…兄15歳の時だった。


その3年後…父親までもが、組長の身代わりに弾を受け、呆気なく死亡。

兄は高校卒業後、車整備会社に就職し、油まみれになりながら、龍子を高校へとやった。