向かった先は、入れ墨師の所……。

大山の背中を…毎日流してきた。

あの光輝く、毘沙門天…俺もいつかは入れてやるんだと、修二は心に決めていた。

お袋よ、お前さんが生んだこの体に傷を入れてやるよ。

お前は…俺にとって…お袋でも何でもない。

一生涯、俺は極道の世界で生きていく。

生涯消えないヤクザの証明書……修二が選んだ絵柄は、肩から手首にかけて桜の花…背中には、子育て観音と言う、観音さんが乳飲み子を抱いている仏画だった。

とりわけ、入れ墨師に対し修二が出した注文は、観世音菩薩の表情であった。

優しく…優しく…限りなく優しい顔にしてくれと頼んだ。

親父が大山で、俺にとってのお袋は、この背中に生きる観音さんだ。

修二は自分の親を捨て、新しい親を自ら選んだ。

修二の肉体のカリキュラムは……ノーマルだった…筈なのに…こうして、たまにカリキュラム狂わす魂もいる。